今日のYAHOOニュースに、         週刊プレイボーイ

ある薬局の不正事件から見る「ルール無視」と「規制逃れ」に走る日本企業の後進ぶり

と題して、

古賀茂明氏の文章が載っていた。 興味深いので ここに紹介したい

 

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 今月7日、全国チェーンの薬局「アイランド薬局ほくしん店」(北海道北広島市)が調剤報酬

を不正請求していたことが発覚した。

調剤報酬とは、薬を処方する時に薬局が受け取る報酬のこと。窓口で 患者に服用方法
や副作用の有無などを確認したり、過去の服用歴を記録、管理したりすることなども
報酬の対象で、その額は 1回当りの処方につき、410円か530円。患者の
自己負担分を除く7~9割分が健康保険料や税金から支払われる仕組みだ。
 
  報道によると、北海道厚生局の調査により、ほくしん店はこうした窓口対応をして
いなかったにもかかわらず、調剤報酬の請求を繰り返していたことが発覚。厚生局は
同店に対して、過去5年分の薬歴を自主点検した上で、不正な請求分の金額を返金
するよう指示した。

 だが、アイランド薬局の運営会社の役員が、資料を改竄して不正件数を減らすよう

働きかけ、1万5000件を超える不正請求の件数を 244件に粉飾、返還すべき金額を

約660万円から10万円にまで ごまかしていたというから驚きである。

 1件当たりのごまかし額は小さいかもしれないが、これだけの数だ。立派な詐欺罪。
しかも、病人という弱者からだまし取る非常に悪質なものだ。
  そもそも、この不祥事への厚労省の対応は大甘すぎる。本来なら刑事事件になっても
おかしくないのに「自社で点検して不正請求額を算出し、自主返還せよ」と指導した
だけで、すべての処理をアイランド薬局任せにしたのだから。これでは ドロボウに
「盗んだ金を勘定して返せ」と言っているようなものだ。
 さらには、アイランド薬局は全国に100以上の店舗を展開している。普通なら、
ほくしん店の不祥事は氷山の一角にすぎず、それ以外の店舗でも同様の不正請求が
されているのでは?と、疑ってかかるのが当たり前だ。

 また、全国に調剤薬局チェーンがたくさんあることを考えれば、ほかのチェーン

でも不正請求がなかったか、厚生局自身が早急に調査を実施すべきだろう。

 

 しかし、厚労省は 事を荒立てたくないのか、そういった動きをまるで見せようとは

していない。

 この事件の報道を見ていて改めて思うのは、日本には規制やルールはあるものの、
実際にはそれが 厳格に執行されないというケースが多いということだ。
例えば、サービス 残業などもその典型だろう。明白な法令違反なのに 実際には ほとんど
摘発されることもなく、日本の企業文化の中で常態化している。

 

 こんな体たらくで 日本は 本当に成熟した先進国と呼べるのだろうか? 
 私が考える先進国の3条件がある。
それは (1)人(権)を守る、(2)自然環境を大切にする、(3)公正なルールが適正に執行される、 の3つである。
日本には、この3番目の条件が物の見事に欠落しているように見える。 アイランド 薬局
の不正は 大きなニュースにこそなってはいないが、日本の残念な現状の一端を表して
いると思う。
 
  日本がまだ豊かではなかった頃、経済成長のために企業が規制やルールを逸脱する
ことがあっても、多少は大目に見ようという風潮があったのは事実だ。

しかし、もう時代が違う。日本を成熟した先進国と自負するなら、規制やルールは

厳正に執行されるべきである。

 

         ◇        ◇        ◇       

 

規則や ルール、もっと言うと 法を適用・執行する際、その厳格さに 

強弱や粗密があることに、私も 度々経験して困惑している。

 古賀氏は、これを

   日本がまだ豊かではなかった頃、経済成長のために企業が 規制やルールを逸脱する

  ことがあっても、多少は大目に見ようという風潮があった

 と述べている。 そして、

   しかし、もう時代が違う。

 と。

                      合掌