非正規職員が半数以上の自治体  「ボーナス支給も月給減」懸念、実情とは

 

非正規職員が半数以上の自治

   「ボーナス支給も月給減」懸念、実情とは

                                                   京都新聞  1/14(火)

 

京都府南部(山城地域)の12市町村のうち7市町で、全職員数に占める 

非正規職員の割合が5割を超えている。この大半が「同一労働同一賃金

の実現を目指して2020年度に新設される「会計年度任用職員」の身分に

移行する。非正規職員である嘱託職員と臨時職員なしには 住民サービスが

成り立たないのが実情で、期末手当(ボーナス)の支給など待遇改善が

進む見通しだが、正規職員の給料との差が埋まるのか 懸念する声が

上がっている。

【表】非正規の割合が61%に上る自治体も

                     京都府山城地域の非正規職員の割合(2019年4月現在)


 山城地域では、規模が大きい自治体で比較的、非正規職員の割合が

高い傾向にある。非正規職員の割合が57%(19年4月現在)と山城地域

で 3番目に高い木津川市は「保育士や放課後児童クラブ(学童保育

の支援員などの確保のため、非正規職員が多くなる」とする。
 割合が最も高いのは井手町の61%。町は「正規で採用できなかった

保育士の仕事枠を、複数の非正規職員がシフト制で補っている」とし、

2番目に高い久御山町(59%)も「延長保育を担う人材として雇って

いる」と説明し、近年の保育ニーズ増大に伴った対応とする。

 非正規職員は、役所の事務職や図書館司書、給食調理員など様々な

職種で働いている。全国的に増加傾向にあり、自治体間で異なる

非正規職員の勤務条件などを統一し、役割や義務を明確化させるため、

17年に地方自治法地方公務員法が改正された。

 会計年度任用職員の制度は 4月に始まる。ボーナス をはじめ手当の

支給が可能で、山城地域の全12市町村では、フルタイム の非正規職員

などがボーナスを受け取る。従来よりも 手当が手厚くなるため、

自治体では、20年度の人件費が増加する見込みだ。

 城陽市は、最大2億円の増加を想定、木津川市は、1億2千万円

と試算する。 非正規職員の人数が 最も多い宇治市では、すでに

嘱託職員にボーナスを支給しているため、5800万円増となる。

 20年度の移行開始を受け、非正規職員の声を反映した処遇改善

を訴える新たな動きもある。宇治市では、市非常勤職員労働組合

が18年12月に発足した。現在は36人が加入し、制度への理解を

深める勉強会などを実施。組合員を増やし、安定して働ける労働条件

を整えるよう訴える。

 各自治体は 現在、同職員に関する詳細な給与条件や規則などを

策定中だ。自治労京都府本部は「 ボーナスを支給する一方で、月額

の給料を減らすことで、年収アップにつながらないケースなどが

出てくる可能性がある 」と指摘。「 財政悪化などを理由に、

処遇改善が進まないのは、会計年度任用職員の制度の目的に反する。

自治体は、職員間で格差が生まれないよう取り組むべきだ 」とする。

 

  地方自治体で非正規職員が急増、

   「絶望的な格差」は法改正で解消できない

                                                             2017   10 /3

   https://www.sbbit.jp/article/cont1/34089

 全国の地方自治体で非正規職員が急増している。 総務省が2016年4月現在で

実態調査したところ、都道府県、市区町村を合わせて64万人に達し、2005年に比べて

4割も増えていた。 退職者補充を 非正規で対応してきた結果で、自治体が 官製

ワーキングプア を大量生産している格好。

地方自治総合研究所の上林陽治研究員は「このままでは雇用の劣化が行政サービスの

低下を招きかねない」と警鐘を鳴らす。

5月に待遇改善を求めて地方自治法地方公務員法が改正されたが、問題解決には

悲観的な見方が出ている。

                                                          政治ジャーナリスト 高田 泰

 

財政難で正規を非正規に置き換え、自治体も苦しい

 鳴門海峡の渦潮で知られる徳島県鳴門市。3階建ての市役所本庁舎には市民課や

税務課、財政課、総務課など市の各課が机を並べているが、市役所で働く職員の3割が

非正規だ。中でも 窓口対応が多い部署ほど非正規が多くなっている。

 市は公営ギャンブル収入で豊かな財政を誇った時代もあったが、行政組織の

肥大が財政を圧迫するなどし、財政健全化を推進してきた。その結果、退職した

正規を非正規に置き換え、人件費を抑えるうちに非正規比率が高まった。

2005年の14%が 2016年で31%に上昇している。
 31%という数字は全国の政令市を除く市部で平均的だが、非正規の増加に

世間の目は厳しさを増している。市人事課は「今までと同じやり方は難しく

なった。国の方針に従い、見直さざるを得ない」と対応に苦慮している。

 徳島県市町村課は県内24市町村で働く非正規数を明らかにした。

それによると、2016年は3,449人で、正規は8,947人。非正規が全体の28%を

占めている。2005年の調査に比べ、正規が2,000人ほど減る一方、非正規は

900人余り増えた。非正規比率も9ポイント上昇している。
市町村別で最も非正規比率が高いのは、徳島市の ベッドタウン として人口増加

が続く北島町の45%。ほぼ 2人に1人が非正規で、北島町総務課は「人員を

ぎりぎりまで削減している。保育所給食センターなどを直営で維持し、

行政サービスを低下させないためには、非正規を増やさざるを得なかった」

と苦しい胸の内を打ち明けた。 

 沖縄県は県議会の一般質問に答える形で県と市町村の非正規数を公表した。

答弁によると、2016年で県関係の非正規は6,587人で、全体の21%を占めた。

2011年度から20~21%台で推移しているという。これに対し、市町村の

非正規は 8,712人に達し、全体の42%に及んだ。2012年の39%から毎年、

少しずつ増加を重ねている。 
 沖縄は県、市町村とも 非正規率の高い地域で、特に目立つ職種は

公立幼稚園教諭の62%。ほかに、市町村に配属される子ども貧困対策支援員

全員が非正規だ。

県内自治体の人事担当者からは「交付税を減らし、人件費を抑えるよう指導

したのは国。それなのに、いまさら 非正規を見直せ といわれても財源がない。

国に振り回されっぱなしだ」と恨み節も聞こえてきた。