(1)のつづき
先の宇都宮市のHPの Q&Aに、
1月1日以前に死亡された方は納税義務が生じませんが、1月2日以後
に死亡された方は納税義務が生じます。
死亡された方の納税義務は 相続人の方が引き継ぐことになりますので、
・・・
とあります。
これは、地方税法第9条
1 相続があつた場合には、その相続人 又は 民法第九百五十一条の法人は、
被相続人に課されるべき、又は 被相続人が納付し、若しくは納入すべき地方団体
の徴収金を納付し、又は納入しなければならない。・・・
に根拠を置いているわけですが、
ここには、一般的に
若しくは納入すべき地方団体の徴収金
と述べていて、
課せられるべき・納付すべき・納入すべき徴収金
の中に、具体的に「住民税」があるとは述べていないのです。
ここに、「課せられるべき・・・徴収金」を具体的に定義するのは、
市町村(の条例)なのであって、国法たる地方税法ではありません。
※ 地方税法 第3条
その他賦課徴収について定をするには、当該地方団体の条例に
よらなければならない。
それにもかかわらず、
この条文を盾に、
「住民税を死者に課す」ことは、自ら(地方自治体)が決めたのではなく、
国が決めたのだ という屁理屈を、市町村の窓口は オウム返しのように
主張するのです。
住民税徴収に このような不可解なことが生じているのは、
地方税に特有な「賦課期日」という、法律に定義のない言葉のため
であろうと思われます。これは、
その日現在において、納税義務者・課税客体・課税標準等の課税要件
を確定する日のこと
(要説住民税~市町村税務研究会編)
だといい、
一般の住民が この法律の条文を読んだだけでは、意味不明の言葉です。
住民税の課税は、まだ当該年度(H31年度)が始っていない その年(H31年)
の1月1日(H30年度)の状況によって、次の年度(H31年度)の課税の可否
や課税額が決定されるのです。 ↑ H31 4/1~ R2 3/31
※ 課税額は 前年度(H30年度)の所得を基準に決定されるという いわゆる
「翌年度課税」であり、個人所得課税の「現年課税」と違うのです。
この賦課期日は、地方税特有の 徴・納税の事務手続きの簡素化・効率化を
目ざした手続法で、固定資産税・都市計画税・自動車税・軽自動車税などに適用
されるが、単に この法を機械的に運用するだけでは、周辺に 様々な しわ寄せを
与えることになります。
例えば、定年退職等で 前年に比べて 収入が大きく減少した者には 負担感が
重くなることや、今の この「死者への課税」という倫理的にも見逃せない問題
を生じさせているのです。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000406453.pdf
※ 固定資産税や都市計画税については、今日 すでに その課税根拠
は時代錯誤的なものとなっており、地方税全体を 根本から組みなおす
必要を迫られているのではないだろうか?
少子高齢化が進み、高齢世帯の増加、経済的困窮化が進む昨今、
血縁や地縁の相互扶助の力も衰え、孤独死が増えていく中で、
このような行政手続きの都合だけを優先して、そのしわ寄せを住民に
蒙らせるやり方は、もう限界に来ているのではないかと思われます。
行政の都合や怠慢を、 吸収し堪えるだけの力が 今まではあったが、
少子高齢化・経済の逼迫で、そうした 行政のわがままを容れる余力を、
とっくに住民は失っているのである。
逆に言えば、住民は 行政に 何でもかんでも任せていればよい
ような時代は、もう とっくに終わっているのであろう。
行政の言う通りをしていたら、生活を根こそぎ奪われ、
あるいは 殺されてしまう * ――― そんな時代なのであろう。
合掌
* 2019/7/11 選挙戦 第8日目【突貫字幕版】 辻村ちひろ
長崎県・諫早湾の干拓事業の現場を視察
https://www.youtube.com/watch?v=IIwXCwPeotE